野原グループの株式会社アークノハラ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本力、以下:アークノハラ)は、2023年3月18日(土)~3月27日(月)の期間、栃木県ABCプロジェクト[i]「自動運転バスに乗ろう@足利市」の実証実験(以下、本実証実験)において、歩行者と車両(自転車を含む)の共存空間(以下、歩車共存空間)である自動運転バスの走行路に、「ICT LED 電光掲示板(対向接近表示器)」を設置し、歩行者に向けて自動運転バスの接近情報を表示することで、注意喚起と自動運転バスの安全走行、道路交通の安全性向上(自動運転バスとの接触事故防止)に協力しました。
本実証実験は、栃木県 県土整備部 交通政策課が日本工営株式会社に「無人自動運転移動サービス実証検討調査業務委託」を発注して実施している栃木県ABCプロジェクトの一環です。栃木県ABCプロジェクトは、2025年度に栃木県内の一部のバス路線で自動運転システムを導入した路線バスの本格運行を目指しています。
栃木県足利市は、国宝の鑁阿寺(ばんなじ)、日本遺産の史跡足利学校など、多くの歴史的観光資源を有しており、歩いて楽しいまちづくりを推進するための魅力ある歩行者空間の整備や交通拠点からの周遊性を高める移動手段確保の検討が課題とされています。本実証実験では、JR足利駅と東武足利市駅間を結び、市街地の観光施設周辺の歩車共存空間において自動運転バスを運行することで、市街地における周遊性向上やにぎわいの創出、歩車共存空間における自動運転バスの導入可能性の検証を目的として実施されました。なお、本実証実験についての詳細は、栃木県ABCプロジェクトのHPをご確認ください。<http://abc-project.tochigi.jp/jissho_ashikaga_gaiyou.html>
|本実証実験における「ICT LED 電光掲示板(対向接近表示器)」の役割とは
「ICT LED 電光掲示板(対向接近表示器)」の役割は、歩車共存空間での「自動運転バスの意思表示」で、周辺交通との安全補完をすることにあります。アークノハラの「ICT LED 電光掲示板」は、自動運転バスの動きと連携し、自動運転バスが停留所に接近したときや、事前に指定した位置を通過したタイミングで、文字を発光表示し、注意喚起を促します。これらは機器内部の通信機により行われます。
本実証実験では、歩車共存空間に2基を設置しました。歩行者に向けて自動運転バスの接近情報を表示することで、注意喚起と自動運転バスの安全走行、道路交通の安全性向上(自動運転バスとの接触事故防止)に協力しました。
アークノハラは、自動運転車両向けに、ICT・通信技術を使った道路側からの安全装置の開発・実用化に注力しています。私たちは、地方圏の公共交通の維持と地域住民の安全性向上や、観光地における周遊性向上に向けて尽力しています[ii]。
1.「ICT LED 電光掲示板(対向接近表示器)」の設置場所と振り返り
設置場所 |
・鑁阿寺(ばんなじ):足利尊氏公像前に1基 ・足利学校付近:大日大門通りの公園に1基 |
設置目的 |
自動運転車両が歩行者の背後から接近している状況で、歩行者に対し、「自動運転バス」「接近中」等を表示し、注意喚起を行い接触事故の防止 |
担当者コメント ~実証実験を終えて~
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「ICT LED 電光掲示板」は自動運転バスの動きに連動し特定の場所に接近した時のみ発光するので、通常の看板よりも人の注意を引きやすいです。 歩車共存空間では、以下の状況下において、「ICT LED 電光掲示板」が有効であると感じました。 ・歩行者が、自動運転バスの走行ルートであることを知らない ・一般車両に比べ、自動運転バスのエンジン音、走行音が小さい 実際に、歩行者が「ICT LED 電光掲示板」を認識し、足を止め、自動運転バスを探すような様子を確認できました。さらに集団の観光客は、「自動運転バス」「接近中」の表示を認識し、足を止めて自動運転バスに道を譲っていました。 |
今後の課題 |
・歩車共存空間では特に、自動運転バス走行に関する周知が重要であり、「ICT LED 電光掲示板」をはじめ、看板、路面標示材などの設置提案を推進 ・「ICT LED 電光掲示板」自体の改良、更に注意を促すような工夫の検討 |
■<図1>走行ルート_◎がICT LED電光掲示板の設置地点
2.実証実験の概要
実験時期 |
2023年3月18日(土)~3月27日(月)【終了】 |
走行ルート |
①「JR足利駅」→「太平記館」→「東武足利市駅」(約1.8km) ②「東武足利市駅」→「織姫神社前」→「鑁阿寺前」→「足利学校前」→「JR足利駅」(約2.9km)<※図1> |
詳細 |
栃木県ABCプロジェクトホームページ |
地域の特徴と顕在化されている 課題 |
① 交通の拠点が、JR 足利駅と東武足利市駅の 2箇所に分散しており、多くの観光資源を有する中心市街地にアクセスする移動手段が不足 ② 足利市では、車中心のまちからひと中心のウォーカブルなまちづくりを推進 ③ 歩いて楽しいまちづくりを推進するための魅力ある歩行者空間の整備や交通拠点からの周遊性を高める移動手段確保の検討が必要 |
|「ICT LED 電光掲示板(対向接近表示器)」について
「ICT LED 電光掲示板」は、自動運転バスの動きと連携し、自動運転バスが停留所に接近したときや、事前に指定した位置を通過したタイミングで、文章を発光表示することができる機器です。これらは、機器内部の通信機により行われます。2021年8月、実用新案権を取得しています。
■「ICT LED 電光掲示板」
主な仕様サイズ |
小型:幅270mm、高さ1150mm,中型:幅400mm、高さ1300mm |
表示面サイズ |
小型:幅192mm、高さ768mm,中型:幅320mm、高さ960mm |
通信方式・機能 |
無線インターネット通信。システム連携での表示内容の切り替えが可能 |
電源 |
ソーラパネルとバッテリによる動作可(※環境及び動作条件による制約あり) |
取付・設置方法 |
Φ60.5mm 単柱取付。ガードレール共架可、金属バンド使用で大口径の柱取付可、柱がない場合に備えて専用架台あり |
詳細 |
アークノハラ「ICT LED 電光掲示板」ホームページ |
交通に関する |
1.ICT LED電光掲示板は、各地の自動運転バスの実証実験で採用されています。 (自動運転バスの接近を道路側[iii]から一般車両に知らせ、円滑な走行を支援) ①見通しの悪いカーブ等における安全対策 ②すれ違い困難部の安全対策 2.身近な生活の課題解決にも有効です。 ①豪雪による急な交通制限を知らせ、不要な交通渋滞や二次災害を防止 ②冠水による通行止め案内 ③通学路の危険個所における安全対策 ※詳細は以下を参照願います。 https://arc-nohara.co.jp/products/ict-products/ict-led-sign.html |
【実証実験に関するお客さまからの問合せ先】
株式会社アークノハラ
事業本部 営業部 スペック推進室
担当:安田
お問い合わせフォーム:https://arc-nohara.co.jp/contact.html
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[i] 栃木県では自動運転システム(Autonomous)を導入した路線バス(Bus)の本格運行を目指した挑戦(Challenge)を行っています。このプロジェクトでは、県内のバス路線の一部において、2025年度に自動運転バスが本格運行し、多くの方に利用してもらえるよう、2020年度~2023年度の間、自動運転バスの実証実験を進めています。
栃木県ABCプロジェクトホームページ:http://abc-project.tochigi.jp/index.html
[ii] アークノハラのこれまでの活動・実績については、弊社ホームページでご確認いただけます。https://arc-nohara.co.jp/products/new_pickup/autonomous-car.html
[iii] 自動運転車両への道路側からの安全対策については、国土交通省資料「自動運転社会における道路の方向性」を参照願います。https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001447855.pdf