建設DXに取り組む野原グループの株式会社アークノハラ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本力、以下:アークノハラ)は、環境省が環境技術の普及促進を目的として実施する「令和5年度環境技術実証事業(ETV事業)」に採択され、2024年6月人工芝グラウンド用高速排水材「NHドレーン」のマイクロプラスチック流出抑制効果<最大93%減>等についてまとめた実証報告書[i]が環境省により承認されたことをお知らせします(同省より2024年6月6日に発表)。
海洋プラスチックごみの中でも「マイクロプラスチック」と呼ばれる5mm未満の微細なプラスチックごみは、海洋生態系への影響が懸念されおり、人工芝に使われる合成繊維もその発生源の一つとされています[ii]。
アークノハラは、マイクロプラスチック流出抑制に関して、「NHドレーン」を環境省承認による「水・土壌環境保全技術領域・自然環境保全技術領域」の実証済技術として、人工芝グラウンドの所有者・施設管理者、地域住民、利用者(競技者などのプレーヤーを含む)の皆様の「環境に安心できるグラウンド環境整備」に貢献し続けてまいります。
※NHドレーンは、マイクロプラスチック流出抑制効果に加え、排水性能も優れております。今回の実証でも排水性能、ユーザー様の主観評価も実施しております。詳細は別紙をご参照ください。
- 実証結果総評|マイクロプラスチックの抑制効果
マイクロプラスチックによる環境汚染の一因ともいわれているプラスチック製の充填材 (ゴムチップ )や人工芝葉の流出抑制に効果的であることが、模擬試験結果より明らかとなった。 模擬試験においては、従来工法に比べNHドレーンでは、 降雨量 30mm/hの場合は 69%、 150mm/hの場合は 93%のプラスチックの流出を抑制できることが示された。 |
アークノハラの「NHドレーン」は、人工芝グラウンドに必要とされる高い排水性能を有した高速排水材で、グラウンドの表層近くや端への埋設で雨水を高速で通しながら、人工芝の素材に多く使用される「プラスチック片」や充填材に使われる「ゴムチップ」などは通しません。「NHドレーン」自体も再生材料を70%使用しており、2022年には「エコマークエコマークアワード2022 優秀賞」を受賞[iii]しています。
- ETV事業での実証概要|第三者機関(実証機関)が環境技術環境保全効果等を実証
アークノハラは、環境技術である自社オリジナル製品「NHドレーン」のマイクロプラスチック流出抑制効果等を第三者機関の実証で明らかにすることで、発注者様・プレーヤーの皆様に安心して人工芝グラウンドを採用/使用いただくことを期待し、本実証事業に取り組みました。
1. 概要
実証対象技術 |
NHドレーンを用いた人工芝グラウンドにおけるマイクロプラスチックの流出抑制技術 |
実証番号 |
140-2304 |
実証申請者 所在地 |
株式会社アークノハラ 東京都新宿区新宿1-1-11 |
実証機関 所在地 |
一般社団法人埼玉県環境検査研究協会 埼玉県さいたま市大宮区上小町1450番地11 |
実証期間 |
令和5(2023)年12月18、21、22日、令和6(2024)年2月14日 |
技術の目的 |
実証対象技術は、高い透水性を有する排水材である「NHドレーン」を用いて、人工芝グラウンドにおけるマイクロプラスチックの流出を抑制することを目的としている。 |
実証対象技術 |
NHドレーンを用いた人工芝グラウンドにおけるマイクロプラスチックの流出抑制技術 |
実証申請者 所在地 |
株式会社アークノハラ 東京都新宿区新宿1-1-11 |
実証機関 所在地 |
一般社団法人埼玉県環境検査研究協会 埼玉県さいたま市大宮区上小町1450番地11 |
2. マイクロプラスチックの流出抑制率|降雨量30mm/h時69%、降雨量150mm/h時93%(従来工法比)
人工芝グラウンドの外周部を模擬した鉄板製の試験装置を用いて、模擬試験実施しました。
NHドレーンでは従来工法に比べ、ゴムチップ充填材を主とするプラスチック片の流出量が少ないことが分かりました。流出抑制率は、降雨量が30mm/h の条件では69%、降雨量が150mm/h の条件では93%となり、実証する性能(50%以上)を満たしました。
結果は次表のとおり。
▸表:実証項目の結果(プラスチック片の流出量の比較)
※気象庁 WEBサイト(予報用語)によると、 30mm/hの雨は「激しい雨」、 150mm/hの雨は「猛烈な雨」に該当する。
プラスチック片の回収に使用したネットの外観
- 人工芝グラウンド用高速排水材「NHドレーン」とは
「NHドレーン」は、人工芝グラウンドに必要とされる高い排水性能を有した高速排水材で、グラウンドの表層近くや端に埋設することで、雨水を高速で通しながら、人工芝の素材に多く使用される「プラスチック片」や充填材に使われる「ゴムチップ」などは通しません。グラウンドの水はけを良くするほか、人工芝[iv]の破片等の流出を防ぎマイクロプラスチック[v]による海洋汚染の防止に貢献します。
また、NHドレーン自体も、再生材を主原料とした環境配慮型製品です(再生PET樹脂約35%、再生ゴム約40%、リサイクルPET樹脂食器約2%を使用)。
1. 高い排水性能とマイクロプラスチックの流出防止を両立する仕組み
※従来工法との違いは、製品ページ(https://arc-nohara.co.jp/products/construction/nhdrain.html )を参照
2. 製品情報
名称 |
NHドレーン |
用途 |
人工芝用暗渠(あんきょ) |
特長 |
1.高排水性:従来工法に比べ、地表に近い位置に設置するため、高い排水性を実現 2.排水溝不要:排水溝・蓋が不要なため、プレーヤーは安全にプレーができる 3.再生材を使用:再生PET樹脂約35%、再生ゴム約40%、リサイクルPET樹脂食器約2%を使用 4.海洋汚染防止:水は通すがプラスチック片の流出を防ぐ絶妙な空隙率 |
開発年月日 |
2015年8月 |
価格 (税抜き) |
NH-114F(サイズ:190×240×1000mm、重さ:21kg)\17,000/m NH-60(サイズ:120×100×1000mm、重さ:6kg) ¥8,500/m ※その他のラインナップは、製品ページを参照願います。 |
主な実績 |
フロンタウン生田、JFA夢フィールド、大田スタジアム、タマホームスタジアム筑後、 読売ジャイアンツ南山ファーム球場、明治大学八幡山グラウンド 等 |
販売 |
株式会社アークノハラ |
製品ページ |
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受賞歴他 |
・エコマークアワード2022 優秀賞(2022年) ・スポーツファシリティーズ大賞【器具・機材部門】日本スポーツ施設協会会長賞(2022年) ・エコマーク取得(2019年) ・環境省 令和5年度環境技術実証(ETV)事業採択 |
問合せ先 |
株式会社アークノハラ スペック推進室(担当:西村、堀江) E-Mail:aac-kouhou@nohara-inc.co.jp |
3.今後の展開
人工芝グラウンドは、マイクロプラスチックの発生源の一つと言われていますが、メンテナンス性に優れ、季節問わずに利用できるなどメリットも多くあります。
アークノハラは、人工芝グラウンド用高速排水材「NHドレーン」を普及させることで、発注者様やプレーヤーの皆様が、環境汚染を気にすることなく、人工芝グラウンドを採用/使用できるようにサポートしていきたいと考えています。
- 参考
[i] 環境技術実証事業による環境技術の実証報告書は、環境技術の性能の保証・認証・ 認可等をうたうものではなく、一定の条件下における環境技術の環境保全効果についてまとめたものです。なお、「NHドレーン」の実証報告書の詳細等は、環境技術実証事業ウェブサイト(https://www.env.go.jp/policy/etv/index.html )の実証済技術一覧のページに後日アップロードされる予定です。
[ii] 2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提唱され、現在までに87の国・地域に共有されています。(環境省WEBサイト「一般向けマイクロプラチック発生抑制・流出抑制対策リーフレット」)https://www.env.go.jp/page_00357.html
[iii] NHドレーンは、2022年11月に公益財団法人日本環境協会が主催する「エコマーク アワード2022」で優秀賞を受賞しました。アークノハラによる「NHドレーン」の開発・普及活動が、マイクロプラスチックによる海洋汚染について真剣に考えている点、グラウンド業界が抱える環境問題のひとつである「マイクロプラスチック流出による海洋汚染」の抑止に貢献する点が評価されました。詳細はWEBサイトをご確認ください。https://arc-nohara.co.jp/topicList/2022/11/24/156
[iv] 人工芝の素材の多くは、「ナイロン」「ポリプロピレン」「ポリエチレン」と言われています。
[v] マイクロプラスチックとは、プラスチックが川に流出し海に流れ込み、波などによる破砕や紫外線により分解され5ミリメートル以下のものを言います。
- 資料
別紙PDF